分散SNSの誕生15周年

GNUsocial/news
概要

5/5は分散SNSの誕生日であり、2023-05-05 Friは分散SNS誕生15周年となります。記念にそのことについて雑感を書きます。紹介が間に合わなかった「ActivityPub is the next big thing in social networks – The Verge」も参考にしました。

分散SNSの誕生日は議論があるところですが、「Fediverse – Wikipedia」にある通り、Evan Prodromouが始めた最初のサーバーidenti.caで使われていたGNU social (前StatusNet、元々Laconica) が起源との説があります。

分散SNSソフトの誕生日一覧 | GNU social JP」で紹介した通り、2008-05-05の「initial database · 3b89aee0b7 – NotABug.org: Free code hosting」がGNU socialの第1コミットであるので、この日がGNU socialの誕生日兼、分散SNS/Fediverseの誕生日と思ってよいと思います。

経過

分散SNSの誕生から15年でいろいろありました。

SNSの世界的なプラットフォームとしては、Facebook/Instagram/Twitter/TikTok/YouTubeが残りました。

15年の間に2件の大きな買収騒動がありました。

  1. 2009-08-10のFacebookによるFriendFeedの買収。GNU socialがOStatusに対応する以前の分散SNSが生まれたての騒動で、時期尚早でした (Natureでの学術機関へのMastodon参入提案記事掲載 | GNU social JP)。
  2. 2022-10-28のElon MuskによるTwitterの買収。2022年11月の出来事で、2017年のMastodonブーム、ActivityPubの成立・普及もあり、人々の受け皿として機能したと思います (速報: Elon MuskによるTwitter社買収完了 | GNU social JP)。

OpenMicroBlogging→OStatus→ActivityPubと主流プロトコルが変遷し、対応ソフトウェアも増えていきました。 最近はNostrやAT Protocolのような新しい分散型のプロトコルも生まれました。

進化

何年にもわたって標準的なものが存在しない状態から寄せ集めの手探りで、SNSを集中から解放するための試行錯誤があり、その最終成果としてActivityPubが残りました。2018-01-23のW3C勧告のActivityPubは約10年かけて生み出された、人類のインターネット上の集中の問題に対する一つの成果・回答だと思います。

ActivityPubはActivity Streamsがベースのpump.ioのプロトコルが元になっており、Evan Prodromouがpump.ioの開発に専念するため、GNU social (StatusNet) の開発が縮小化され、その後別の開発者がGNU socialとしてStatusNetを引き継いだ経緯があります (GNU social – Wikipedia)。

スマートフォンやボタン式の固定電話の前に、ダイヤル式の黒電話があったように、進化の過程で必要なプロセスでした。

歴史で起きたことをそのまま受け入れて解釈すると、以下のように思いました。

  • Evan ProdromouがStatusNet/GNU socialの開発を縮小してpump.ioに取り組んだからActivityPubが生まれた。
  • GNU socialがいまいちだったからMastodonやPleromaが生まれた。
  • Mastodonが普及してActivityPubが主流になったからMisskeyもActivityPubに対応した。

GNU socialが縮小されたことでActivityPubが生まれた。GNU socialがいまいちだったからこそ、一強にならずに済み、分散SNSのソフトウェアの多様性が生まれたと、前向きに受け取ります。

結論

分散SNS誕生15周年の雑感でした。いろんな人々の営みで今があります。

私が支持しているGNU socialの評判は以前から悪く、今はその後の開発・保守が続かなくて、いまいちな状態、風前の灯火になっています。

私はゲームが好きなので、GNU socialの現在の状況を似た境遇のバーチャファイターに例えて以下の投稿をしました。

avatar
ぐぬ管 (GNU social JP管理人)|[email protected]
!sns GNU socialは分散SNSにおける、バーチャファイター的な存在ですね。 バーチャファイターは世界初の3D対戦格闘ゲームて、今はシリーズ止まっています。 GNU socialは世界初の分散SNSです。今は開発滞っています。 どちらも歴史に残る重要な存在です。

今はいまいちであっても、歴史を語る上で外すことのできない、始まりの重要な存在です。GNU socialがあったから今の分散SNS/Fediverseの世界があります。そう思うと、私は深い畏敬の念を感じずにはいられません。私がGNU socialを使い続ける理由の一つです。

その始まりの存在がどういう形であれ今もいて、後続の新しいソフトウェアと生まれた時を超えてつながっていることが、とても素敵なことだと思います。そして、私はGNU socialを残すべきだと思っています。開発が滞っていてバグもあって、いまいちな部分の多いGNU socialですが、構造的にMastodonやMisskeyに真似できないものがあります。例えば、単独サーバーの運営コストはGNU socialのほうが圧倒的に安くできます。

現在分散SNSにいる人々が未来の分散SNSを作ります。それぞれの行動が未来につながります。この先どうなるかを見守りながら、私は私で自分でできることを一生懸命に取り組みたいと思いました。

Comments

  1. This Article was mentioned on web.gnusocial.jp

  2. This Article was mentioned on web.gnusocial.jp

Copied title and URL