概要
MozillaのMastodonサーバーmozilla.socialのプライベートβ版が告知されたので紹介します (情報源: Mozilla’s new Mozilla.Social Mastodon instance is an attempt to reinvent content moderation – The Verge)。
過去に「MozillaのMastodonサーバーmozilla.socialの開始 | GNU social JP」で紹介し、2023年3月の時点でサーバー自体は存在していましたが、その際に告知はなく、Mozilla関係者専用の団体サーバーでした。
2023-05-04の以下の投稿と「Mozilla Social Private Beta Launch」で告知されていました。
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Last year we announced we would be joining Mastodon to explore an alternative to today’s social media.
We’re excited to announce we’re expanding Mozilla.social to a private beta, with hopes to open to the public soon.
This is just the beginning. Read more about the launch of our instance, including how to join the public waitlist. https://blog.mozilla.org/en/mozilla/mozilla-social-mastodon-private-beta-announcement/
The internet deserves a better answer to social
まずMozillaの発表の「Mozilla Social Private Beta Launch」の内容を紹介します。
インターネットはWebブラウザーだけのものではなく、ソーシャルメディアも我々の生活の大きな部分を占めています。しかし、現在ソーシャルは壊れています。株主のニーズではなく、人々のニーズを満たすため、巨大テクノロジー企業から権力を奪うには、Fediverseがその中心にあると信じています。
2022年12月にMozillaはMastodonへの参入を表明しました (報道: サードパーティー製Twitterアプリ禁止、日本でのTwitter Blue開始、ElonJet関係の凍結・他のSNSの誘導禁止→撤回、ツイート表示回数表示、 #TwitterFiles の5-16弾 | GNU social JP)。本日、mozilla.socialをプライベートβに拡張します。この段階に到達するために多くの作業を行ってきたが、一般公開の前にさらにやるべきことがたくさんあります。
他のSNSと比較して、コンテンツモデレーションのアプローチに大きな違いがあります。それは「中立」のプラットフォームを構築していません。「中立性」が攻撃者の言い訳として頻繁に使用されていると考えているからです。他人に害を与えたとしても、個人の表現の自由は米国では絶対的な権利とみなされることが多いです。しかし、我々はこの見解に同意しません。これが気にいらなければ、自由に他のサーバーに行くことができます。
公開初日からこれらのルールが完璧に機能すると言いたいところですが、実際はそうはなりません。最も重要なことは、ユーザーが自分の経験がソーシャルのすばらしさを取り戻し、体験を悪化させる要素を減らすことができたと感じることです。ただ、この実現には時間がかかります。オープンで既存のコミュニティーと一緒に行うことを約束しているためです。オンボーディング、発見、アイデンティティ、収益化など、他の多くの分野での実験も必要です。
mozilla.socialへの参加に興味があれば、待機リストに登録してください。
Mozilla’s setting up shop on Mastodon and trying to reinvent content moderation
続いて今回の発表を受けた取材記事の「Mozilla’s new Mozilla.Social Mastodon instance is an attempt to reinvent content moderation – The Verge」を紹介します。
Mozillaのサーバーでは、他のユーザーに嫌がらせできません。偽情報の拡散もできません。この方針について、Mozillaの最高製品責任者 (CPO) のSteve Teixeiraは次のように述べました。
多くのプラットフォームが危害を加えたい人とそうでない人の中間点を見つけようとしている。しかし、実際には中間点はありません。他人に危害を加えたくない人の側につく必要があります。中立のふりをしたり、言論の自由の翼を主張せず、MozillaはMastodonをよりよい場所にすることを望んでいます。
Mozillaのコンテンツポリシーは、保護が必要な人々の側でプラットフォームが過ちを犯すことを明確にしています (疑わしきは罰せよ的な立場で、モデレーションが誤る可能性の明記)。このスタンスは多少の物議を呼ぶと予想していますが、これがコンテンツに関する視点を確立することの意味です。Mozilla.Socialを人々が生きたいと思っている体験ができる場所にしたいと考えています。
分散SNSでのコンテンツモデレーションの問題は、Mozillaが貢献できる場所としてすぐに浮上しました。それは、Mozillaがモデレーションのためのリソースやツールを多数保有する大企業であることと、数年前にMozillaが発表した「健全なインターネットのための誓い」に非常に合致しているからです。インターネットは現実の世界であり、誰もがインターネットを利用し、そこで歓迎されていると感じる必要があります。それには、コンテンツモデレーションがSNSの主要な製品であり、ソーシャルをよくしたければ、これから始める必要があるという理由もあります。
Mozillaのこの分野での活動は、大きなものになる可能性が高く、分散SNSのコミュニティーがMozillaの最高のアイデアをうまく活用することを望んでいます。コンテンツのモデレーションはトリッキーで主導の仕事であり、簡単に拡張できません。Mozillaの場合、自動化と人間の作業が混在します。Twitterの混乱やFacebookなどのテクノロジー業界のレイオフのおかげで、この分野の知識を持つ多くの優秀な求職者がおり、タイミングがよかったです。Masotodnに適したOSSのうち、Cinderが特に人気のツールです。
コンテンツルール以外では、Mozilla.Socialは他のMastodonサーバーと大きな違いはありません。ただ、Mastodonをさらによくする別の方法も模索します。例えば、UIや検証ツールです。有名人がプラットフォームになれるのを助け、ユーザーが他のユーザーの発見を助けるものです。Mozilla製のアプリを考えています。
結論
MozillaのMastodonサーバーmozilla.socialのプライベートβ版の告知でした。
コンテンツモデレーションの方針が特に特徴的でした。「中立・中間は存在しない」というのはその通りで、全然中立でないのに中立を言い張ったり装うことに比べて、非常に潔いです。その結果、安全側に寄せた左派的な立場になるというのもしかたないのでしょう。
また、オンボーディング、発見、収益化など、他にも取り組むことが多数あり、一般公開には時間がかかっているようです。
「Cinder | The first operating system for Trust and Safety」というMastodonと相性の良いモデレーションのOSSの紹介があったのは発見でした。その他、Mozilla製のMastodonアプリの構想が若干触れられていました。以前「アプリ: Mozillaが支援するMastodon iOSアプリMammoth | GNU social JP」でMozillaが支援するMastodon iOSアプリを紹介しましたが、これとは別で独自のものを考えているようです。
インターネットの世界で重要な組織のMozillaの動向は分散SNSにも大きな影響があると予想します。ひとまず私も待機リストに登録して、今後のMozillaやmozilla.socialの動向に注意します。

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