話題: Pleroma元トップ開発者Alex Gleasonの開発コミュニティーからの追放

Pleroma/news

概要

2022-08-05 FriにAlex Gleasonによる「Pleroma is dead」の記事が公開され、これが海外のPleromaユーザーで話題になっていました。内容はPleromaの元トップ開発者の1名だったAlex Gleasonの開発コミュニティーからの追放です。

GNU socialのエゴサーチで、PhenomX6の投稿から始まる一連のスレッドを見かけたことが、管理人が知ったきっかけです。Pleroma界隈でのビッグニュースに思いましたが、日本ではほとんど取り上げられていなかったので、内容を紹介します。

要約

該当記事の管理人による要約は以下となります。

  1. Pleromaの開発に2年以上貢献し、トップ開発者の1名だったAlex Gleason (著者) のGitlabのアカウントが停止され、開発コミュニティーから追放された。
  2. 著者はPleromaの現在は廃止されたsocial.myfreecams.comの2番目に大きなサーバーを運営していた。サーバーはSpinster.xyzで、2万人のユーザーがいて、Pleroma FEとして著者謹製のSoapboxを使っていた。
  3. アカウント停止の理由は著者がトランスフォビア (transphobe: トランスジェンダー反対派) だから。著者がトランスフォビア―である理由は「Why I don’t support transgender ideology」に記されている。
  4. これが理由で、Pleromaの開発コミュニティーの中で、2年間スケープゴートとして、いじめ、叩かれてきた。
  5. 当初MyFreeCamsというエロ動画のライブ配信サイトの運営元がPleromaのプロジェクトを資金援助していたが、経営判断で途中で打ち切られた。
  6. 資金援助がなくなり、開発メンバーのモチベーションが下がる中、著者は開発を積極的に行ったため、開発リーダーにより、メンテナーに昇格した。
  7. しかし、メンテナー昇格後に炎上し、他のメンバーからバッシングを受ける。メンバーからの追放要請の声が大きくなったため、開発リーダーによって追放される。
  8. 追い打ちをかけるように、著者が行ったコミットを打ち消すためのパッチが後にマージされ、キャンセルカルチャー (問題発生時に過去の成果の破棄) に著者は怒りに震えた。
  9. その後、今回の件を受けてPleromaのコミュニティーガイドライン (Code of Conduct: CoC) が改訂される。
  10. 2年の開発中に、著者謹製のPleroma FEとしてのSoapbox FEと、Pleromaからforkしたサーバー実装のSoapbox BEの開発を行っていたため、追放後はSoapboxに専念する。

ひとまず以上が記事の管理人による要約になります。この他に、該当記事の末尾や「Alex Gleason cries about pleroma – Heterodorx – YouTube」に、今回の事件についてのAlex Gleasonの音声インタビューが掲載されています。

トランスフォビア

今回追放の原因となったトランスフォビア (Transphobia) やAlex Gleason自身の立場などをよく知らなかったので簡単に整理します。

まず、トランスフォビアはトランスジェンダーの人に対する不寛容、否定的な態度、言動、嫌悪を意味する言葉だそうです (参考: トランスフォビア – Wikipedia)。

このトランスフォビアが発生する理由ですが、フェミニズムや女性を守るための運動の側面があるようです。

Alexの「Why I don’t support transgender ideology」に詳細な記載があります。最もわかりやすい事例は、トランスジェンダー女性 (生物的男性) による事件です。

生物的に男のトランスジェンダー女性は、生物的に男なので、スポーツ大会で女性として出場して、それまでの女性記録を塗り替えたり、女性に対するレイプ事件などがあり、特にこういう事例があってトランスフォビアという主義が発生するようです。Alexもトランスジェンダー女性の問題を比較的多く理由として取り上げているように見えました。逆に、トランスジェンダー男性については、そこまで言及・問題視はなかったように思います。

そして、Alexの背景は「Soapbox | Mastodon日本語Wiki Archive」に記載があり、運営していたSpinster.xyzは女性のフェミニスト向けのサイトで、Alexのパートナーの M. K.Fainがラディカルフェミニスト作家でした。なお、spinsterの英単語は未婚婦人という意味のようです。

女性を守るフェミニズム寄りの立場があって、その関連でAlexはトランスフォビアなのだと思われます。

反響

Alexはトランスフォビアであることを理由に追放されました。

管理人としては、特に違法行為でも犯罪行為でもなく、Pleromaとの開発と無関係な部分で追放されるのは不当に思いました。

ただ、追放された当人からの記事しかなく、追放したPleroma開発コミュニティー側からは発表がなく、情報に偏りがあります。

日本で話題になっておらず、Pleromaユーザー内でこの記事にどういう評価がなされているのか不明でしたので、情報の偏りを補うために、この記事を見つけたスレッドのメンバーのRyo尋ねてみました

以下が回答となります。

@gnusocialjp @alex
> What do you and pleroma user think about @alex ‘s article?

I learned the hard way that western open source development teams always get caught up in drama sooner or later, it’s nothing new.
Not like with Japanese development teams where we’re mostly on the same grounds or avoid conflict if we have a different opinion, in the west (欧米) it’s enough to have a difference in political opinion to cause a loud break up.

> I think alex has no illegal act and criminal act (including hate speech).

Being able to have hate speech is part of having free speech.
If you can’t say anything bad, speech is limited.
However, LGBT people are well known for being particularly soft.
Even saying “there are only 2 genders” or “men have a penis” is considered “hate speech” to them.

But from what I understood, Alex wasn’t fighting, it was the other side kicking him out.
@alex, @xianc78, @PhenomX6, can you maybe give more insight?
(If you explain, please use proper English, I don’t think GNU social JP’s English is at the level to understand slangs or altered terms.)
Ryoによる回答

回答内容の概要を日本語で整理すると以下となります。

Ryoによる今回の記事の所感
  1. 欧米では政治的な意見の違いは、組織内の分裂に十分な理由。
  2. トランスジェンダーの人はかなりセンシティブで、「性別は2種類しかない」「男にはペニスがある」という発言すらヘイトスピーチとみなす。

欧米と日本の文化の大きな違いに感じました。欧米では政治的立場の違いは非常に重要で、またトランスフォビアーの人はかなりセンシティブで、ヘイトスピーチとなる範囲がかなり広いようです。ヘイトスピーチの扱いが、日本での「太った人へのデブ」、「髪の薄い人へのハゲ」くらいのレベルを含むような印象です。

なお、この話題について日本人で反応のあった人がいました。その人はPleromaの開発コミュニティーと同じで、「トランスフォビアは差別主義で、元々悪いものなのだから、議論の余地すらなく、当然の結果」という内容でした。なお、最後は管理人に対する侮蔑発言・ヘイトスピーチまであり、身の危険を感じたのでそこで議論を止めました。こちらに一連の会話があります。閲覧する際はご注意ください。

なお、この他に反響として、[https://fedi.pawlicker.com/notice/AMEyBaWyhtMHLsvWU4] もあります。

それとは別で、そもそも今回のAlexの追放に至る西欧の開発コミュニティーの歴史的背景について、この記事を発見したときの会話元のPhenomX6が、非常に重要な歴史的経緯を [https://fedi.pawlicker.com/notice/AMUMdMviBI8DY3frkW] で説明してくれました。

この投稿は、今回のAlexの件だけでなく、西欧の開発コミュニティーの政治的背景、今後の分散SNSでの傾向などを考える上で極めて重要な情報となっていますので、「話題: 欧米のFOSSコミュニティーの政治的対立の歴史的経緯 | GNU social JP」で内容を日本語で整理しました。

結論

Pleromaトップ開発者Alex Gleasonの開発コミュニティーからの追放ということで、開発コミュニティー内のニュースとしては大きな話題を解説しました。

大きな話題にもかかわらず、日本ではPleromaサーバーの管理人はいても、開発コミュニティーに詳しい人はいないようで、話題に一切上がらず違和感がありました。海外Pleromaユーザー内では話題だったようなので、今回取り上げました。

管理人としては、開発と関係ないことが理由で追放になるのはやりすぎに感じましたが、西欧と日本の文化の違いが大きいようです。

今回の西欧の開発コミュニティーの政治的立場の歴史的経緯は非常に重要ですので、後日PhenomX6の投稿内容をベースに解説します。

また、Mastodon/Misskeyの開発に関しては日本に詳しい人がいますが、Pleromaについては開発に詳しい人が以前はいたものの今はいないように感じます。英語での意思疎通はなかなか負担がかかりますが、海外Pleroma勢も積極的にフォローして情報をウォッチしていきます。

2022-09-04 Sun。Alex Gleasonがトップ開発者だったのは2022年2月頃までだったので、「トップ開発者」という表現はふさわしくないという指摘がありました。

kphrx (kpherox@pl.kpherox.dev)’s status on Sunday, 04-Sep-2022 21:59:13 JSTkphrxkphrx
@gnusocialjp 彼が8月にPleroma GitLabをBANされた時はすでに「トップ開発者」と呼ばれる人物ではなかったです。一時期貢献が多くありましたが今年の2月時点で彼はメンテナーから除名されています。それ以降に彼の貢献は一切受け入れられていないので、やはり適してないだろうと思います

そのため、記事タイトルを「元トップ開発者」という表現に変えました。

また、Gleasonがメンテナーを除名される2月の少し前に、彼を非難する記事が「Update on Pleroma Maintainance — Cyber-home of lanodan」に投稿されていました。Pleromaの開発コミュニティーはトランスジェンダーが大半だったそうで、そのほか開発のプロセスに問題があるという指摘でした。

なお、開発プロセスに問題があるという指摘は、「こちらの長文スレッドの最後のほう」で議論されており、結局誤解だったという結論になったようでした。

コメント

  1. […] 先日、「話題: Pleromaトップ開発者Alex Gleasonの開発コミュニティーからの追放 | GNU social JP」で取り上げたAlex Gleasonが開発するSoapboxについて、名前を変更する発表があったので紹介します […]

  2. […] 先日「話題: Pleromaトップ開発者Alex Gleasonの開発コミュニティーからの追放 | GNU social JP」を取り上げた際に、トランスジェンダーを否定しただけでコミュニティーから追放されるのは日本 […]

  3. […] 以前サイトでも取り扱った「話題: Pleroma元トップ開発者Alex Gleasonの開発コミュニティーからの追放 | GNU social JP」に続く、LGBT関係のトラブルのようです。 […]

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